「人生100年時代」と言われるようになり、70代を迎えてもまだまだ元気に活躍したいと考える方が増えています。経済的な安定のため、健康維持のため、あるいは社会とのつながりや生きがいを求めて、「もう一度働きたい」という気持ちをお持ちではないでしょうか。
しかし同時に、「70代で仕事なんて見つかるのだろうか?」「年収はどれくらいもらえるの?」「体力的に無理なく働けるか不安…」といった疑問や心配事も尽きないことでしょう。
この記事では、そんな70代の方々が抱える疑問や不安を解消するために、70代のリアルな年収事情や転職の現実を、公的なデータに基づいて徹底的に解説します。
具体的には、以下の内容を網羅しています。
- 70代の平均年収と働き方の実態
- 企業が70代に本当に求めていること
- ご自身の目的や体力に合った仕事の見つけ方
- 損をしないための年金と給与の関係
- 採用を勝ち取るための応募書類・面接対策
この記事を最後まで読めば、70代からの仕事探しに自信を持って踏み出すための知識と具体的なステップが身につきます。あなたの豊かなセカンドキャリアを実現するため、ぜひ参考にしてください。
70代の就労実態|平均年収と働き方の現実
「70代で働いている人は、どれくらいいるのだろう?」まずは、客観的なデータから70代の就労の現状を見ていきましょう。「自分だけが特別なのではないか」という不安は、ここで解消されるはずです。
70代の就業率は上昇傾向|データで見る就労の現状
実は、70代で働く人の割合は年々増加しています。総務省統計局の「労働力調査(2023年平均)」によると、70~74歳の就業率は33.5%、75歳以上の就業率でも11.4%に達しています。
- 70~74歳: 3人に1人が就業
- 75歳以上: 約10人に1人が就業
これは10年前(2013年)の数値(70~74歳: 24.8%、75歳以上: 8.2%)と比較しても、大幅に上昇していることがわかります。
この背景には、2021年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」により、企業に70歳までの就業機会確保が努力義務として課されたことなど、社会全体でシニア世代の活躍を後押しする動きがあります。
つまり、70代で働くことはもはや珍しいことではなく、ごく当たり前の選択肢の一つになっているのです。
【雇用形態別】70代の平均年収・給与相場
次に、気になる収入面を見ていきましょう。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」などを参考に、70代の平均的な給与相場をまとめました。
雇用形態によって収入は大きく変わるため、ご自身の希望する働き方と照らし合わせてご覧ください。
雇用形態 | 平均月収(目安) | 平均時給(目安) | 年収(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
正社員・契約社員 | 約23.5万円 | – | 約280万円~350万円 | フルタイム勤務が中心。これまでの経験や専門性を活かせる職種が多い。 |
パート・アルバイト | 約8.8万円 | 1,000円~1,300円 | 約100万円~150万円 | 短時間勤務が中心。体力的な負担が少なく、自分のペースで働きやすい。 |
※上記はあくまで全国平均のデータであり、職種や地域、勤務時間によって変動します。
正社員や契約社員としてフルタイムで働く場合は、年収300万円前後を目指すことも可能です。一方、パート・アルバイトとして無理のない範囲で働く場合は、年収100万円前後が一つの目安となるでしょう。
フルタイムと短時間勤務での年収シミュレーション
ご自身の生活スタイルに合わせて、どのくらいの収入が見込めるのか、より具体的にイメージしてみましょう。ここでは時給1,150円(都市部の平均的な水準)と仮定して、2つのパターンでシミュレーションします。
【パターン1】しっかり働きたいAさん(フルタイム)
- 勤務条件:週5日勤務、1日8時間
- 月収の計算:1,150円 × 8時間 × 22日 = 202,400円
- 年収の計算:202,400円 × 12ヶ月 = 2,428,800円
【パターン2】無理なく働きたいBさん(短時間勤務)
- 勤務条件:週3日勤務、1日4時間
- 月収の計算:1,150円 × 4時間 × 12日 = 55,200円
- 年収の計算:55,200円 × 12ヶ月 = 662,400円
このように、働き方によって年収は大きく変わります。ご自身の体力や「何のために働くのか」という目的を明確にし、目標とする収入額を設定することが大切です。
70代の転職市場|企業が求める人物像と採用の可能性
「データは分かったけれど、実際に企業は70代を雇ってくれるのだろうか?」という点が、最も気になるところだと思います。結論から言えば、70代の採用に積極的な企業は数多く存在します。成功の鍵は、企業がシニア人材に何を期待し、何を懸念しているのかを正しく理解することです。
企業が70代に期待するスキルと経験
企業が若手にはない、70代ならではの価値として期待しているのは、主に以下の点です。
- 長年培った専門知識や技術: 特定の業界や職種で培ってきた深い知見は、唯一無二の財産です。
- 豊富な人生経験に基づく課題解決能力: 様々な困難を乗り越えてきた経験は、予期せぬトラブルにも冷静に対応できる力につながります。
- 若手への指導・育成能力: ご自身の経験を若い世代に伝え、チーム全体の成長に貢献することが期待されます。
- 広い人脈: これまで築いてきたネットワークが、新たなビジネスチャンスを生む可能性があります。
- 高いコミュニケーション能力と誠実な人柄: 円滑な人間関係を築き、真面目にコツコツと業務に取り組む姿勢は高く評価されます。
ご自身のこれまでのキャリアを振り返り、「自分にはどんな強みがあるだろうか?」と棚卸ししてみることが、効果的なアピールへの第一歩です。
企業が懸念する点とその払拭方法
一方で、企業がシニア採用において慎重になる点も存在します。主に以下の3点が挙げられますが、これらは事前の準備と面接での伝え方次第で十分に払拭可能です。
- 健康・体力面への懸念: 「無理なく仕事を続けられるだろうか?」という企業の不安に対し、具体的な健康管理法を伝えることが有効です。「毎朝のウォーキングを日課にしています」「定期的に健康診断を受けており、医師からも問題ないと言われています」など、自己管理能力をアピールしましょう。
- 新しい技術(ITスキル)への順応性: 「パソコン操作や新しいシステムに対応できるか?」という点については、学ぶ意欲を前面に出すことが重要です。「PCは得意ではありませんが、現在勉強中です」「新しいことを覚えるのは好きなので、積極的に挑戦したいです」といった前向きな姿勢が好印象を与えます。
- 若い上司との人間関係(プライド): 「年下の上司の指示を素直に聞けるだろうか?」という懸念には、謙虚な姿勢を示すことが何よりの対策です。「年齢や過去の役職に関係なく、ご指導いただきたいです」「新しい職場のルールを一日も早く覚えます」という言葉で、協調性をアピールしましょう。
採用されやすい70代の人物像とは
上記の期待と懸念を踏まえると、企業から「ぜひ一緒に働きたい」と思われる70代の人物像が浮かび上がってきます。
- 謙虚で素直な人: 年齢や過去の経験を鼻にかけず、新しい環境や若い世代の意見を柔軟に受け入れられる。
- 学ぶ意欲がある人: 知らないこと、できないことを素直に認め、積極的に吸収しようとする姿勢がある。
- コミュニケーション能力が高い人: 明るい挨拶ができ、相手の話を丁寧に聞き、自分の考えを穏やかに伝えられる。
- 自己管理ができる人: 自身の健康やスケジュールをきちんと管理し、周囲に心配をかけない。
長年の経験は大きな強みですが、それを「自慢」するのではなく、新しい職場で「貢献」するための土台として捉える姿勢が、採用を勝ち取るための鍵となります。
【目的・体力別】70代におすすめの仕事・職種15選
70代が活躍できるフィールドは、あなたが思っている以上に多岐にわたります。「経験を活かしたい」「体力的に楽な仕事がいい」「未経験から始めたい」という3つのカテゴリーに分けて、おすすめの仕事を15種類ご紹介します。
経験やスキルを活かせる仕事
これまでの社会人経験で培った真面目さや責任感が直接評価される仕事です。
- マンション管理人: 居住者とのコミュニケーションや簡単な清掃・点検が主な業務。丁寧な対応が喜ばれます。
- 施設警備員: オフィスビルや商業施設での巡回、監視業務。特別な資格が不要な場合も多いです。
- 送迎ドライバー: 幼稚園や介護施設の送迎バスの運転。安全運転の実績が信頼につながります。
- 清掃スタッフ: オフィスやホテルの清掃。自分のペースで黙々と取り組めます。
- 軽作業(検品・梱包): 工場や倉庫での簡単な作業。特別なスキルは不要で、未経験者歓迎の求人が多いです。
体力的な負担が少ない仕事
座り仕事が中心だったり、自分のペースで進められたりする仕事です。
- 事務補助・データ入力: 書類整理や簡単なパソコン入力。基本的なPCスキルがあれば挑戦できます。
- コールセンター(受信): 商品の注文受付や問い合わせ対応。丁寧な言葉遣いが活かせます。
- 専門職の顧問・アドバイザー: これまでの専門知識を活かし、企業に助言する仕事。高収入も期待できます。
- 家事代行: 掃除や料理など、普段の家事スキルがそのまま仕事になります。
- スーパーの品出し・レジ: 短時間勤務の募集が多く、地域に密着して働けます。
未経験からでも始めやすい仕事
特別なスキルや資格がなくても、すぐに始められる仕事です。
- ポスティング: チラシなどをポストに投函する仕事。ウォーキング感覚で健康維持にも繋がります。
- シルバー人材センターの仕事: 植木の剪定、ふすまの張替え、駐輪場の管理など、地域に根差した多様な仕事があります。
- 農業の手伝い: 農家の収穫作業などを手伝う仕事。自然の中で体を動かせます。
- 学童指導員: 小学生の放課後の見守り。子どもと触れ合うのが好きな方におすすめです。
- 交通量調査: 指定された場所で、通行する車や人の数をカウントする仕事。短期・単発の募集が多いです。
70代の転職を成功させる仕事の探し方5選
自分に合った仕事を見つけるためには、やみくもに探すのではなく、戦略的に情報収集を行うことが重要です。ここでは、70代の仕事探しに特に有効な5つの方法を、具体的なステップとしてご紹介します。
ステップ1:ハローワークのシニア専門窓口を活用する
まず最初に訪れたいのが、国が運営する職業紹介機関「ハローワーク」です。特に「生涯現役支援窓口」や「シニア応援コーナー」といった専門窓口の活用を強くおすすめします。
【活用シナリオ例】
Aさん(72歳): 「70歳を過ぎていますが、何か私にできる仕事はありますでしょうか?」
相談員: 「Aさん、ご相談ありがとうございます。まずは、これまでのご経験や、これからどんな働き方をしたいかをお聞かせいただけますか?体力的なご希望や勤務時間なども含めて、一緒に整理していきましょう。シニアの方を積極的に採用している求人もたくさんありますよ。履歴書の書き方や面接の練習もお手伝いできますので、ご安心ください。」
このように、専門の相談員が親身にカウンセリングを行い、非公開のシニア向け求人を紹介してくれたり、応募書類の添削や面接対策まで、一貫して無料でサポートしてくれます。一人で悩まず、まずは専門家を頼りましょう。
ステップ2:シルバー人材センターの仕組みと特徴を理解する
地域の高齢者が主体となって運営する「シルバー人材センター」も有力な選択肢です。ハローワークとの大きな違いは、企業に雇用されるのではなく、センターから「請負」または「委任」という形で仕事を引き受ける点です。
- メリット: 自分の都合に合わせて、短時間・短期間の仕事を選びやすい。地域社会への貢献を実感できる。
- 注意点: 収入は「配分金」として支払われ、最低賃金の保証はない。あくまで補助的な収入と考えるのがよい。
植木の剪定、家事援助、施設管理、翻訳など多種多様な仕事があります。まずは、お住まいの地域のシルバー人材センターに問い合わせて、会員登録の方法や仕事内容について聞いてみましょう。
ステップ3:シニア専門の転職サイト・エージェントを利用する
インターネットが使える方は、シニア・高齢者向けの転職サイトや転職エージェントの活用が効率的です。
- 転職サイト: 24時間いつでも、自分のペースで求人情報を検索・応募できます。
- 転職エージェント: 専任のキャリアアドバイザーが、あなたの経験や希望に合った非公開求人を紹介してくれたり、企業との面接日程の調整や条件交渉を代行してくれたりします。
「シニア 転職サイト」「70代 求人」などのキーワードで検索すると、多くのサービスが見つかります。複数のサービスに登録して、情報収集の幅を広げるのがおすすめです。
ステップ4:地域の求人情報誌・新聞広告をチェックする
【多くの方が見落としがちなポイント】
インターネットが主流の現代ですが、地元の中小企業や個人商店が出す求人は、今でも地域の無料求人情報誌や新聞の折り込み広告にしか掲載されていないケースが少なくありません。
大手サイトには載っていない、自宅から近い「隠れた優良求人」が見つかる可能性があります。スーパーや駅に置いてある求人誌を手に取ったり、新聞の広告欄に目を通したりする習慣をつけることで、思わぬ出会いがあるかもしれません。
ステップ5:知人からの紹介(リファラル採用)を頼る
これまでの人生で築いてきた人間関係は、何にも代えがたい財産です。昔の同僚や友人、近所の方々に「何か仕事を探している」と伝えておくことで、思わぬところから声がかかることがあります。
- メリット: 信頼できる人からの紹介なので、ミスマッチが少なく、採用に繋がりやすい。
- 注意点: 断りにくい、待遇面の交渉がしづらいといった側面もあります。
紹介を受ける際は、仕事内容や条件を事前にしっかりと確認し、感謝の気持ちを忘れずに接することが大切です。
【重要】70代の年収と年金の関係|損しない働き方とは
「働き始めると、せっかくもらえる年金が減らされてしまうのでは?」という不安は、多くの方が抱く最大の懸念点です。しかし、ご安心ください。70歳以降の働き方においては、その心配はほとんどありません。損をしないために知っておくべきお金の知識を、分かりやすく解説します。
70歳以降は在職老齢年金による年金カットは原則なし
会社員として厚生年金に加入しながら働くと、給与(正確には総報酬月額相当額)と年金月額の合計額に応じて年金が一部または全額支給停止される「在職老齢年金」という制度があります。
しかし、この制度が適用されるのは70歳未満の厚生年金被保険者です。
70歳以降に働く場合、厚生年金保険の被保険者資格を失うため、在職老齢年金の仕組みは適用されません。
つまり、どれだけ給与収入があっても、老齢厚生年金・老齢基礎年金がカットされることはなく、満額受給できます。(※ただし、70歳以降も厚生年金適用事業所で働き続ける場合は、引き続き在職老齢年金の対象となるケースがあります。詳細は日本年金機構にご確認ください。)
この点は非常に大きなメリットであり、収入額を気にすることなく、安心して働くことができます。
年金以外の所得が20万円を超えたら確定申告が必要
税金に関しては、一つだけ注意点があります。それは確定申告です。
以下の両方の条件を満たす場合は、原則として確定申告が不要になります。
- 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(給与所得など)が年間20万円以下
多くの方は年金収入400万円以下に該当すると思われますので、ポイントは「給与所得が年間20万円を超えるかどうか」です。
- 年間の給与収入が103万円以下の場合: 給与所得は48万円以下となり、基礎控除48万円を差し引くと所得税はかかりません。しかし、年金以外の所得が20万円を超えるため、確定申告は必要です。
- パート収入が月1.5万円(年間18万円)の場合: 年金以外の所得が20万円以下のため、確定申告は不要です。
「年間20万円の壁」を意識し、ご自身の給与収入がこれを超える見込みであれば、確定申告が必要になると覚えておきましょう。
雇用保険・社会保険の加入条件
働く際の保険についても整理しておきましょう。70歳以上で働く場合、加入条件は以下のようになります。
保険の種類 | 加入条件 | 特徴 |
---|---|---|
雇用保険 | ・週の所定労働時間が20時間以上 ・31日以上の雇用見込みがある |
65歳以上で加入すると「高年齢被保険者」となる。育児休業給付金などは対象外だが、失業時に「高年齢求職者給付金」を受け取れる。保険料の負担は発生する。 |
社会保険(健康保険・介護保険) | ・原則として75歳まで加入義務あり ・週の所定労働時間および月の所定労働日数が正社員の4分の3以上 |
75歳になると後期高齢者医療制度に移行するため、会社の健康保険からは脱退する。保険料の負担は発生する。 |
短時間勤務(例:週15時間など)であれば、これらの保険の加入義務は発生しないケースが多いです。面接時や契約時に、ご自身の勤務条件がどの保険の対象になるのかを、しっかりと確認することが重要です。
採用を勝ち取る!70代向け応募書類の書き方と面接対策
さあ、いよいよ採用選考のステップです。ここでは、採用担当者に「この人に会ってみたい」「一緒に働きたい」と思わせるための、応募書類と面接の具体的なコツをお伝えします。
履歴書・職務経歴書作成のポイント
70代の応募書類は、若手とはアピールするべきポイントが異なります。
- 職歴は「全部書く」のではなく「応募先に合わせて要約する」: 長い職歴をすべて羅列すると、採用担当者は何が強みか判断できません。応募する仕事内容に関連する経験やスキルを2〜3つに絞り、具体的に書きましょう。
- 「本人希望記入欄」を有効活用する: 「週3日、1日5時間程度の勤務を希望します」「軽作業や清掃の仕事であれば、すぐにでも貢献できます」など、働ける条件や意欲を具体的に書きましょう。空欄はもったいないです。
- 「健康状態」はポジティブに: 「良好」と一言書くだけでなく、「きわめて良好(定期的にウォーキングを継続中)」のように、健康維持への取り組みを添えると、採用担当者の安心につながります。
- 丁寧な字で、心を込めて書く: 手書きの場合は、読みやすい丁寧な字を心がけましょう。誠実な人柄が伝わります。パソコンで作成する場合は、誤字脱字がないか何度も確認しましょう。
面接でよく聞かれる質問と回答例
面接は、あなたの人柄を直接アピールできる絶好の機会です。よく聞かれる質問には、自信を持って答えられるよう準備しておきましょう。
【面接シミュレーション】
面接官: 「A様は73歳でいらっしゃいますが、今回、なぜ改めて働こうと思われたのですか?」
良い回答例: 「はい、年金もいただいており生活に困っているわけではないのですが、長年勤めてきた経験を活かして、少しでも社会の役に立ちたいという気持ちが強くあります。また、規則正しい生活を送ることで健康を維持したいという思いもございます。こちらの〇〇という業務であれば、私のこれまでの経験が活かせると考え、志望いたしました。」
面接官: 「体力的な面で、お仕事に支障はございませんか?」
良い回答例: 「ご心配ありがとうございます。毎朝30分の散歩を日課にしており、体力には自信があります。先日の健康診断でも、医師から太鼓判をいただきました。もちろん、無理はせず、任された仕事に責任を持って取り組みたいと考えております。」
このように、単に質問に答えるだけでなく、働く意欲・健康への自信・貢献したいという前向きな姿勢をセットで伝えることが、好印象につながる秘訣です。
面接官に好印象を与える心構えとアピール術
面接当日は、以下の3点を意識するだけで、あなたの印象は格段に良くなります。
- 清潔感のある身だしなみ: シワのないシャツ、磨かれた靴、整えられた髪型など、基本的な身だしなみが重要です。見た目から「しっかりした人だ」という印象を与えましょう。
- ハキハキとした明るい挨拶と話し方: 入室時の「失礼します」、面接開始時の「本日はよろしくお願いいたします」という挨拶を、明るくハッキリとした声で伝えましょう。自信があるように見え、コミュニケーション能力の高さを感じさせます。
- 「教えていただく」という謙虚な姿勢: 過去の役職や実績を自慢するのではなく、「新しい職場で、一から勉強させていただくつもりです」「皆様からご指導いただきながら、早く戦力になれるよう努力します」という謙虚な姿勢を示しましょう。この姿勢こそが、採用担当者が最も求めているものです。
70代の年収・転職に関するよくある質問
最後に、70代の仕事探しで多くの方が抱く疑問に、Q&A形式でお答えします。
Q. 体力に自信がありませんが、大丈夫でしょうか?
A. もちろんです。大切なのは、ご自身の体力に合った仕事を選ぶことです。
無理にフルタイムの仕事や立ち仕事を選ぶ必要はありません。週2〜3日の短時間勤務や、座り仕事が中心の事務補助、コールセンター、マンションの受付など、体力的な負担が少ない仕事から探してみましょう。面接の際には、健康状態について正直に伝え、「このくらいの勤務時間であれば問題ありません」と具体的な条件を提示することで、企業側も安心して採用しやすくなります。
Q. パソコンスキルはどの程度必要ですか?
A. これは、応募する職種によって大きく異なります。
事務職やデータ入力などの仕事では、Wordでの簡単な文書作成、Excelでの基本的な表計算、メールの送受信といった基本的なPCスキルが求められることが多いです。一方で、清掃、警備、軽作業、送迎ドライバーといった仕事では、パソコンスキルが全く不要な求人も多数あります。もしPCスキルを身につけたい場合は、ハローワークの職業訓練(ポリテクセンター)や地域の公民館などで開催されているシニア向けのPC講座を受講するのも良いでしょう。「現在、PCスキルを勉強中です」と伝えるだけでも、学ぶ意欲のアピールになります。
Q. 75歳以上でも働ける仕事はありますか?
A. はい、あります。
確かに75歳を過ぎると求人の数は減少する傾向にありますが、諦める必要は全くありません。マンション管理人、清掃、軽作業、ポスティング、シルバー人材センターで紹介される仕事などは、年齢不問の求人が比較的多く見られます。大切なのは、健康で働く意欲があることです。ハローワークの窓口で相談したり、地域の求人情報を根気強くチェックしたりすることで、活躍の場はきっと見つかります。
Q. 不採用が続きます。どうすれば良いでしょうか?
A. 不採用が続くと気持ちが落ち込んでしまいますが、そこで立ち止まってしまうのは非常にもったいないです。まずは、一度冷静になって原因を分析してみましょう。
- 応募書類は魅力的か?: 応募する仕事に合った自分の強みをアピールできていますか? 誰かに見てもらい、客観的な意見をもらうのがおすすめです。
- 面接での受け答えは適切か?: 暗い表情になっていませんか? 謙虚さや学ぶ意欲は伝わっていますか?
- 応募する職種は合っているか?: もしかしたら、ご自身の希望と企業の求める条件にミスマッチがあるのかもしれません。少し視野を広げて、違う職種に応募してみるのも一つの手です。
もし一人で解決するのが難しい場合は、ハローワークの相談員や転職エージェントのアドバイザーといった第三者に相談してみてください。プロの視点から具体的な改善点をアドバイスしてもらえるため、状況を打開する大きなきっかけになります。
まとめ:人生100年時代、70代のキャリアはもっと豊かになる
今回は、70代の年収と転職をテーマに、就労の現実から具体的な仕事の探し方、採用を勝ち取るためのノウハウまでを詳しく解説しました。
最後に、本記事の重要なポイントを振り返ります。
- 70代の就業率は上昇中: 70代で働くことは、もはや特別なことではありません。
- 年収は働き方次第: フルタイムなら年収250万円前後、短時間なら年収100万円前後が目安。自分の目的に合わせて選べます。
- 企業は「経験」と「謙虚さ」を求めている: 長年の経験を活かしつつ、新しいことを学ぶ姿勢が成功の鍵です。
- 仕事の探し方は多様: ハローワーク、シルバー人材センター、転職サイト、地域情報誌、知人紹介など、複数の手段を組み合わせましょう。
- 年金はカットされない: 70歳以降は、原則として収入額に関わらず年金を満額受給できます。
70代で働くことは、年収という経済的な安定をもたらすだけでなく、社会とのつながりを保ち、日々の生活にハリを与え、健康維持にも貢献するという、計り知れない価値があります。それは、あなたの人生をより一層豊かにしてくれる、素晴らしい挑戦です。
この記事を読んで、少しでも前に進む勇気が湧いたなら、まずは最初の一歩として、お近くのハローワークの「生涯現役支援窓口」に電話をかけてみるのはいかがでしょうか。専門家と話すことで、きっと新たな道が見えてくるはずです。
あなたのセカンドキャリアが、実り多く輝かしいものになることを心から応援しています。
【免責事項】
本記事は、2024年5月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。法改正や制度変更により、内容が最新でなくなる可能性があります。年金や税金、社会保険に関する個別の詳細な内容については、日本年金機構、税務署、お近くのハローワークなどの専門機関に必ずご確認ください。本記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
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